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症例報告

慢性の頭痛と不眠・のぼせに悩む30代女性〜東洋医学の「陰虚・陽亢」によるアプローチ〜

【症例の概要】
お悩み:3ヶ月前から続く頭頂部・側頭部の締め付けられるような頭痛。寝付きが悪く、夢を多く見る。
患者様:38歳 女性(IT関連のデスクワーク、責任のある立場)
随伴症状:目の酷使、手足の冷え、顔ののぼせ、寝汗(盗汗)、コロコロした便秘、月経前の乳房の張り。

 

【東洋医学的な見立て(病因病理)】
現代社会のストレスやデスクワークによる慢性的・過度な「目の酷使」は、東洋医学において「肝血(かんけつ:体や目を潤すエネルギー)」を激しく消耗させます。今回のケースでは、体内の潤い(陰液)が不足した「肝陰虚(かんいんきょ)」がベースにありました。身体を冷ます潤いが足りないため、ストレス(気鬱)が引き金となり、体内の熱や陽気がコントロールを失って頭部へと突き上げる「肝陽上亢(かんようじょうこう)」という状態を引き起こしていました。これが、頭頂部や側頭部の激しい頭痛、および脳が興奮して眠れない不眠や夢の多さ(心神不安)の原因でした。

 

【治療方針と選穴(アプローチ)】
治療方針:上部に突き上げている過剰な「肝火・肝陽」を速やかに引き下げつつ、根本にある「肝の潤い」を補う。
選択した主穴:「行間(こうかん)」または「曲泉(きょくせん)」
まず、頭部に充満している熱や気の滞りを物理的に下肢へと引き下げる(降逆・清熱)ため、足にある経穴(ツボ)を選択しました。これに付随して、お腹(心下部)の緊張を緩める優しい接触鍼の手法を用い、全身の気の巡りのバランス(空間の調和)を整えました。
 
【経過と考察】
施術直後から「頭の締め付け感がスッと抜け、目がパッと明るくなった」と実感していただけました。その後、数回の施術で寝汗やのぼせが落ち着き、朝までぐっすり眠れる身体へと変化していきました。局所の痛む部分(頭や肩)だけに鍼をするのではなく、「上熱下寒(上がのぼせて下が冷える)」という全身のバランスの歪みを足元の一穴でコントロールしたことが、早期改善に繋がった症例です。

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